![]() | シャネル 最強ブランドの秘密 (朝日新書 100) 山田 登世子 朝日新聞社 2008-03-13 売り上げランキング : 5004 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ファッションデザイナーに関する本で、一番数が多いのがシャネルです。 シャネルの生い立ち(過去を語らない女シャネル)、 シャネルの激しい気性(皆殺しの天使)、シャネルの恋愛と媚 びない生き方(孤高)、シャネルとブランド論(意匠権)、 シャネルとモード(コルセット、ジャージ、黒とか)、数々の 伝説を残しているので、いろんな切り口で多数の人が言及しています。 ファッションの専門家はもちろん、「齋藤メソッド」の斎藤孝氏ですら シャネルに関する本を出しているくらいです。
本書『シャネル 最強ブランドの秘密
第1章 贅沢革命1―アンチ・ゴージャス
(1)「金ピカ」埋葬
(2)新品はチープ
(3)時価総額を自慢する馬鹿
第2章 贅沢革命2―偽者のチカラ
(1)黒のシンプリティ
(2)宝石を廃絶する
(3)ブランドを自慢する
第3章 著作権無用論―マスの思想
(1)ストリートはサロンより面白い
(2)著作権なんていらない
(3)シャネルとフォード―「大量生産」是か非か
第4章 企業家シャネル―ブランド・ビジネス
(1)モードは殺されるために作られる
(2)ブランドはパラドクス
(3)無からの創造
(4)ブランドとは伝説である
第5章 スタイルはライフスタイル
(1)追憶の衣装
(2)ギャルソンヌ
(3)メンズ盗用
第6章 はたらく女
(1)自由の鍵
(2)シャネルの実用主義
(3)恋人たち
(4)70歳でカムバック
本書は「シャネル―最強ブランドの秘密」が題名に なっているのですが、最強ブランドの秘密とは何なのか。 その答えは単純明快です。最強なのは、シャネルがシャネル だからです(笑)まずはブランドコンセプト。 これは「シャネルが着たい服」です。つまりシャネルです。 シャネルはショートヘアーを流行らせたことがあります。 「ショートヘアーが流行ったのではなく、私が流行ったのよ」 そうシャネルは言いました。要するに、シャネルという ブランドが生み出すスタイルではなく、シャネル自身が モードという主張です。シャネル自身がモードという 主張はアメリカでの成功時の発言にもあります。 「多くのアメリカ人にとって、パリとはわたしのことなのよ」。 仕事だけではなく恋愛もそうです。「ウェストミンスター 公爵夫人なら三人いるけど、ココシャネルは一人しかいない」 という「私はシャネルだから」という理由で結婚より仕事を 選んだのです。そんなシャネルに「最強ブランドの秘密は 何なのでしょうか?」と問えば、「シャネルがシャネルだからよ」 という答えが返ってくるのは容易に想像がつきます(笑)
「シャネルがシャネルだから」というのはトートロジー ですが、シャネルが凄いのは、シャネルが最強なのは、 全てココ・シャネルという人物に帰結します。 著者は「シャネルは一切の価値の根源=根拠に自分以外を 置かなかったのであり、自分の名を一個の権威にしたて あげたのだ、と。それというのも、ブランドの成立には 「名」と「権威」という問題が大きく関わってくるからである」 と説明しています。ブランドというのは権威が大切であり、 その権威とは元祖だったり、希少性だったり、 王室・貴族御用達だったり、貴族出身だったり、 長く続く伝統だったり、権威あるデザイナーに師事したキャリアだったり、形は いろいろです。しかし、一から成り上がっていった素人の シャネルにはそれらがないのです。「自分自身」以外に ブランドバリューの根拠を置きようがないのです。 だからこそ、マス(大衆)を強く意識して、自分の伝説を 発信したのです。「シャネルが凄いのはシャネルだから」 と自分自身をプロデュースしたのです。
これはいわゆる「セレブ」の仕組みと同じです。 「セレブリティ」というのは、「繰り返される、頻繁な」 という意味からきています。繰り返し名前が呼ばれるから有名なのです。 頻繁に見えているから価値があるのです。その価値が ブランドと化し権威となるのです。シャネルはそこに目をつけ、 本来、デザイナー(≒商人)は裏方の存在にも関わらず、 積極的にメディアを活用し、時代の寵児になっていったのです。 自分の幼少期(孤児時代)を語らないのも、70歳で復帰する までの14年間のブランクを語らないのも、自分の伝説、 すなわちシャネルというブランドバリューに傷がつくのを 恐れたからでしょう。
シャネル最強ブランドの秘密とは、シャネルの一つ 一つの伝説です。少なくとも著者はそう考えているからこそ、 「シャネル語録」を多数引用し、シャネルという人物の 魅力に迫っているのだと思います。本書ではそんなシャネル伝説が コンパクトまとめてあります。現デザイナーのカール・ラガーフェルド の話は一切出てきません。ココ・シャネルという人物に 興味がある人に、シャネル論の入門に、オススメの一冊です。


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懐かしいですね。2年前くらいにココシャネルの化粧品の研修の番組を見ましたが、さすがの一言でした。
日本支社のCEOは、まさにシャネルがシャネルであること、あり続けれること(ブランド・インテグリティ)がブランド価値の恒久的な向上させる方法だ、と語っていました。でも、若い女性にはあんまりうけないんですよね、ここ(汗)
なんとなく、寅さんに出てくるリリーのような印象を受け、シャネルに対する偏見が少し変わりました。
先月末には、別の書籍も文庫化されてますし、
(新潮社、山田氏とは別な方の著作)
今後も新たなシャネル本の刊行があるかもしれません。
日本のシャネラーを見たら、シャネルはどう思うのか・・・といつも思います。
>usoさんへ
僕は逆でして、シャネルを知れば知るほど、気性の激しい人だったんだなぁ〜という偏見が^^;
>minamimusashiさんへ
シャネルの本は本当によく出ますよね。今後も数年に一冊は出ると思います。