いつか「かわいい」について考えてみたいと思って いたのですが、ちょっと前に本屋で『「かわいい」論
せっかくなので、この機会に『「かわいい」論
■「かわいい」は主観的
「かわいい」とは主観的なものなので、 一般化することはできないよ、というお話。 当たり前と言ったら当たり前だけど・・・。
・CUTiE(原宿ガール)が描く「かわいい」

「かわいい」とは男の子という他者の眼差しに 応じたものではなく、どこまでも自分が自分に対して 抱いている映像でなければならない。当然ながら、 そこではセックス記事は排除されている。わたしとは 選別された、希少な存在である。わたしが「かわいい」 のは、わたしが群れから離れ、特権的な差異の中の 住人だからだ。『「かわいい」論』
要は「モード、それは私だ」と言ったシャネル、 「朕は国家なり」と言ったルイ14世と似たようなものですね。 「かわいい、それは私だ」というナルシズムである、 というのが著者の見解なのでしょう。ナルシズム と言ってしまうのは聞こえが悪いので言い換えると、 「かわいい」観というのは人それぞれで、 「かわいい」とは主観的な評価である、 というところかなと。これは正しいと思います。
原宿ガールについてはこんな説明も。
東京・原宿に集まる若者たち独特のファッション。 どこか幼げな服装や足もとのボリューム、奇抜な 髪の色など、マンガに描かれる少女たちのイメージ とも通じる美意識に、世界の注目が集まったのは 1990年代のこと。マンガには、わかりやすさ、 幼児性、あるいはバッドテイスト、猥雑さが混在している 『ファッションの世紀―共振する20世紀のファッションとアート』
原宿ガールの多くは個性的なファッションで 目立とうという思惑より、「かわいい」と思って あのような服装をしているのですが、 その美意識(かわいい)はマンガに通じるものが あるようです。こちらも「かわいい」というのは 妄想というか、自分の中にある主観的評価という ことができると思います。
■「かわいい」は日本独自の概念
「かわいい」と同じような概念に「ガーリー」、 「キュート」、「プリティ」などがありますが、 どこが違うのでしょうか。
・JJ(コンサバ系・お姉系)が描くかわいい

「可愛い大人になりたい!」というのが、2004年11月号 の特集である。「かわいい」がもはや平仮名でもローマ字 でもなく、漢字で記されていることにまず留意しておこう。 表紙にはこの特集タイトルを補足するように、 「姉の日VS妹の日 明日挑戦したいフェミニンな スタイル大特集」と註釈されている。 「フェミニン」であることと「可愛い」であることは、 こうして同義のものとして併置されている。『「かわいい」論』
JJではなくCanCamを取り上げてほしかった・・・。 ティーンズ誌では「かわいい」が平仮名やカタカナで 記されている場合が多いのですが、赤文字雑誌 (CanCam、JJ、ViVi等)はだいたい漢字で表記されています。 これは赤文字雑誌のテーマの1つに 「ギャル系のファッションを卒業して、大人っぽい ファッションをすること」というのがあるからでしょうね。
とりあえず、「可愛い」と「フェミニン」は 同義で「可愛い」は「かわいい」を大人っぽくした 表現なので、「大人化したかわいい=フェミニン」 言い換えると、「かわいい=子供化したフェミニン」 というのがJJの捉え方かな。「子供化したフェミニン」 とはファッション用語的にいうと、 「ガーリー」のことではないでしょうか。
ガーリーとは、少女らしい状態や、女性が惹かれるもの 全般を俗に言う言葉である。ファッション・アート・ その人自身などを通して表現される。 1990年代中盤のアメリカで発祥した考え方。 「 Fashion Blog」
「ロマンティック」とも言い換えられることが多く、 ジェシカ・シンプソンが「ガーリー」の体現者だそうです。
なんか「かわいい」と「ガーリー」って似ていますね。 でも「かわいい」は日本独自の概念とされており、 海外でもそう分析されています。
・海外(ル・フィガロ紙)からみた日本の「かわいい」
幼さや小ささを愛でるキュートでもなければ、ロリータ でもない。この形容詞は単にモノに使われるだけではなく、 考え方、話し方、振る舞いすべてに用いられ、ある意味で 最高の誉め言葉だ。いとおしさを起こさせるさまざまな 感情のすべてをひっくるめたものが「カワイイ」 という表現。『東京・パリ・ニューヨーク ファッション都市論』
なるほど。「ガーリー」、「キュート」、「プリティ」 になくて「かわいい」にあるもの。それは 「いとおしさを起こさせる」という要素ではないでしょうか。 「ガーリー」、「キュート」、「プリティ」はポップで 力強いイメージですが、「かわいい」には力強さがなく、 むしろ弱々しく儚い感じがします。これがいとおしさを 引き起こしているのかもしれません。
では最後にギャルのいう「かわいい」に話を 進めていきます。
■「かわいい」といえばギャル
「かわいい」とはティーンズ中心の言葉で、 ギャルがもっとも的確に「かわいい」というものを 捉えていると思います。なんせ雑誌名にもなって いるくらいですし。ではその雑誌を見ていきましょうか。
・Cawaii!!(ギャル)が描く「かわいい」

『Cawaii!!』が読者に伝えたいメッセージはきわめて単純である。 いかに「男の子」を惹きつけ、彼にナンパされるか、だ。 「かわいく」あることは、そのために女の子が心がけて おかなければならない必要条件である。『「かわいい」論』
要するに「男性を性的に惹きつける魅力」が 「かわいい」ということでしょうか。 私が思うに、これは「かわいい」よりも 「セクシー(≒エロ)」に近い概念じゃないかなと。 ギャルの男性へのアプローチの基本は「男に媚びない」 というもので、ギャルはそれを「カッコいい」と しています。つまり「男性を性的に惹きつける魅力(≒エロ)」 はギャルにとって「かわいい」ものではなく 「カッコいい」ものなのです。
だからギャルの言う「かわいい」は「エロ」とは もっと別のところにあるような。「エロかわいい」なんて 言葉があるけど、これは「エロ+かわいい」で生まれた 言葉なので、「エロ」と「かわいい」は別の概念で あったと考えられますし。ではギャルの言う 「かわいい」とは何でしょうか。
さて、そのギャルの原理の基盤は、「かわいい」にある。 「かわいい」の定義はすでに述べた通り、 「幼稚で弱々しく、姿かたちが美しいもの」である。 端的には、赤ん坊や子犬、子猫などがその対象となる。 子供がぬいぐるみをかわいがるように、ギャルたちが 「かわいい」を連発するのは、彼女たちが幼児性を 抱いているからである。『ギャルの構造』
ギャルのいう「かわいい」とは幼稚で弱々しく、 姿かたちが美しいもののことであり、 ギャルそのものである、という指摘。 そして『ギャルの構造
「幼稚で弱々しく、姿かたちが美しい」ものをつき つめていくと、「食べてしまいたいくらい、かわいい」 という表現にいきつく。食品は、なんの抵抗もなく自分の 中に取り込める。無抵抗で食べられるものこそ、 「かわいい」の権化なのである。もちろんその 「かわいい」は、姿かたちが美しいものでなければならない。 『ギャルの構造』
言われてみれば、代表的なギャル雑誌のeggは卵 でかわいらしい食べ物だし(ハンプティダンプティって かわいいでしょ?)、ピチレモン、ラブベリー、 キャンディ(休刊)、メロン(休刊)、オリーブ(休刊) とかもそうです。なぜかティーンズのファッション誌には かわいい(ファンシーな)食品名が多いのですよ。 だからこの見解には驚きました。
■まとめ
・自分の中にある主観的な評価である
・いとおしさを引き起こす(弱々しく儚い)
・幼児志向を示唆するテイスト
今まで出てきたポイントをまとめるとこんなところかな。 あと付け加えたいのが、2001年を境にかわいい キャラクターの代表(女性誌頻出)が ハローキティからプーさんに変わった (時代によってかわいいの基準が変わる)点と 若い女の子はヤマンバギャルやキモカワなどいろいろな 要素を「かわいい」と言える鋭敏な感性を持っている (おそらくその感性は若い女の子しか持っていないと思う) という点。
それらも考慮にいれて自分なりに定義を考えてみると、
「かわいいとは幼稚で弱々しく、 姿かたちが美しいもので、 若い女性が時代の空気を自分自身の感受性に重ね 共感できたもの」
という感じでしょうか。家にある本からいろいろと 引っ張ってきましたが、考えれば考えるほどわからなく なってくる「かわいい」。本当はCanCamの「モテ」と 「かわいい」についても触れたかったのですが、 これ以上、話が広がると収集がつかなくなるので それは次の機会にでも。では今回はこのへんで。

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自分達男からすると、本マにそぅ思って連発してんのか!?ってのが多いですょね!!笑゛
そもそも「かわいい」の捉え方が違うので、その違和感が取り除かれることはないのですが……
男側からの感覚と女性側のソレを対比して纏めてみるのも面白いかもしれませんね。。。(^皿^)
面白かったです。
「愛することが出来る(可能)」って書くじゃないですか〜
だから自分が愛する事が出来る愛しく思えるものが「かわいい」なんじゃないかなと思います。
まぁファッションについてじゃないが(笑
魅力的な「弱み」が「可愛い(平仮名片仮名でも可」
魅力的な「強み」が「綺麗、ほか仰々しい(ちょw)褒め言葉」
って所かなぁ
Cawaii!!は、、その表紙見た限りだと控えめに言っても「ケバい」だね(笑
> 幼さや小ささを愛でるキュートでもなければ、ロリータでもない。この形容詞は単にモノに使われるだけではなく、考え方、話し方、振る舞いすべてに用いられ、ある意味で最高の誉め言葉だ。いとおしさを起こさせるさまざまな感情のすべてをひっくるめたものが「カワイイ」という表現。『東京・パリ・ニューヨーク ファッション都市論』
これにはとても納得ですね。そういえば英語で話し方がかわいい、とは言いませんし、そう感じる人自体以内のかもしれません。
でも、ハンプティーダンプティーがかわいいかは個人的には微妙ですw
これ僕も思いましたw
無くなってる気がするので、どこまでの範囲で語るのかな? と
興味深く読んでました。これだけ「かわいい論」が並ぶと、
ある種壮観ですね。相変わらず絶妙な切り口でした。
私は、女性にとっての可愛い≒男性にとっての萌え、だと思ってます。
かつて女性が何でもに「可愛い」と言う事に違和感を持っていた男性も、
「萌え」という概念が出来て色々と得心出来たのではないでしょうか。
>幼稚で弱々しく、姿かたちが美しいもの〜
正しく初期の「萌え」定義です。どちらも既に
「好意的感情を誘発させるもの全てに冠せる表現」へと、
意味が広がりに広がってしまった点もよく似てますし。
なんでも「かわいい」という言葉を使っとけばいいみたいなところもあるでしょうね、「かわいいバブル」だとも思います。
どれ程の量のテキストを読んでいるんだ?と驚嘆しました。
速読術でもマスターしているのでしょうか?
もしオススメの速読術でもあればご教授ください<(_ _)>
エビ売れはですね、かわいいがハブになっているんですよ^^話すと長くなるんですけどね・・・
>デットーリさんへ
誰かに調査して欲しいですよね、男女差を。
>W2さんへ
僕は本は雑食です^^
>yoppyさんへ
なるほど!目から鱗です。それは至言ですよ!
>taskさんへ
かわいいは単に語彙が少ないだけだろ!
と突っ込みたくなるのは同感ですけどね^^
>ワイオゥさんへ
僕もかわいい=萌えと思っており、
さらに突っ込んで、モテ(かわいい)=萌え
という記事を書いたことがあります。
>pororiさん、パトリックさんへ
えー!かわいいじゃないですか(笑)
>CanCam解説中の者さんへ
かわいいバブルもいつかはじけるのでしょうかね^^;
>grindさんへ
母性ですか。なるほど。その視点はありませんでした。
>この記事を見て
いや、僕は流して読んでいるだけなので、
頭にまったく入っていなかったりします^^;
>もう「萌え」
萌えの研究家に怒られてしまいます^^;
たどり着きました。まとめの定義は圧巻です。
勉強になりました。
女の子ならいまは、くーちゃんなんでしょうかね??
女性に「南海キャンディーズのしずちゃんかわいいよね」と言われ、「お前似てるよな」と返したら激怒された・・・というような男女間の「かわいい」に対する認識の相違は多々あります。是非研究してみてください。