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本書『20世紀ファッションの文化史―時代をつくった10人
登場するデザイナーはワース、ポワレ、シャネル、 スキャパレッリ、マッカーデル、ディオール、 クアント、ヴィヴィアン、川久保玲、マルジェラの10人。 アルマーニ、ラガーフェルド、カルダン、ラルフローレン、サンローラン、 バレンシアガなどの重要人物が入って いませんが、著者が言うには、「デザインの創造性と 社会変革への意思という観点から判断した結果」だそう。 アートよりの視点なので、『ファッションの世紀―共振する20世紀のファッションとアート
第1章 チャールズ・ワース ファッションデザイナー誕生
「オートクチュールは芸術と産業を融合させる試み」であった。 そのオートクチュールというシステムによって、 ワースは地位を確立してき、ファッションデザイナー という特権的な立場を作り上げていった、というお話。
第2章 ポール・ポワレ オリエント、装飾と快楽
ポワレといえば、コルセットから女性を解放し、 香水をはじめて手がけたデザイナーであり、模造品対策に ラベル(タグ)をつけた人としても有名です。しかし。 著者は「ポワレは女性の身体を解放するためにコルセット を破棄したわけではなかった」と身体解放説に疑問を呈し、 ポワレのデザインの狙いは何であったのかを述べています。
第3章 ガブリエル・シャネル モダニズム、身体、機械
コルセットを流行遅れにしたのがポワレなら、 本当の意味で女性の身体の解放を促したのがシャネル。 「服はまず、実用的でなければならない。実用的で 着やすい服」と前時代的(人形のような)女性の生き方と 装飾過多のファッションを否定したのはあまりにも有名。 そのあたりのお話がコンパクトにまとめられています。 また、「シャネルのドレスは“着るための機械” というイメージをアピールしたといえるだろう」と、 シックで機能的なファッションがアメリカでウケたことに ついても言及。
第4章 エルザ・スキャパレッリ ファッションとアート
シンプルで男性的なエレガンスを追求するシャネルと 対立していたのが、派手で遊び心に溢れるデザインをする スキャパレッリ。「ファッションはアートだ」と言い放ち、 画家のダリと共作。その作品はシュルレアリスムの手法 (例えば、靴帽子のデペイズマン)が見られるのですが、 こんな感じで、あくまで4章はアートの話が中心です。 アーツ・アンド・クラフツ運動、ウィーン工房、 ロシア・アヴァンギャルド、シュルレアリスムとか そのあたり。
第5章 クレア・マッカーデル アメリカンカジュアルの系譜
シャネルにスキャパレッリ。両者が成功したのはアメリカ のおかげでもあります。パリモードで生まれたモノを アメリカをはじめとした各国が普及させていたからです (シャネルとスキャパレッリはアメリカで特に人気)。 そういう図式だったのですが、第一次世界大戦による 影響でパリからの情報が途絶え、その間にアメリカ 独自のファッションが確立されていくことに。 その中心人物がクレア・マッカーデル。日常着から アイデアを得て、着心地、快適性、シンプルさを重視した 「アメリカンルック」を作り出していくのですが、 大量生産、活動性、シンプルさ、という特徴を アメリカンファッションが備えているのはなぜか、 という点にも焦点を当てているのが5章です。
第6章 クリスチャン・ディオール モードとマーケティング
アメリカンスタイルを確立したマッカーデルとパリモード を普及させたディオール。2人とも同じ時代を生きています。 ディオールの方は戦後、ニュールックによって脚光を 浴びるのですが、ニュールックが生まれるまでではなく、 その後のアメリカ市場への進出とライセンスビジネスが話の 中心です。著者は「オートクチュールと既製服、上流階級 と一般大衆、エレガンスとポピュラックス、中小企業と 大企業、さまざまなファッションの橋渡しをすることで、 ディオールは20世紀のファッションに1つの道筋をつけた のである」と6章を締めています。
第7章 マリー・クアント ストリートから生まれた流行
ファッションの大衆化が進むにつれ、パリのサロンから トップダウンで降りてくるファッションだけではなく、 ストリートから生まれるファッションが登場します。 その象徴的なものがミニスカート。ミニスカートと いえば、マリー・クアントとクレージュなのですが、 その両者の違いを考察しつつ、ツイッギー、ロンドン カルチャー、日本のミニスカブームにも触れ、 ミニスカートは何だったのか、何をもたらしたのか、 について論じているのが7章です。
第8章 ヴィヴィアン・ウェストウッド 記号論的ゲリラ闘争
ストリートファッションといえばカウンターカルチャー。 中でも一番有名なのがロンドンのパンクです。その パンクブームを仕掛けたのが、ご存知、ヴィヴィアン・ ウェストウッドとマルコム・マクラーレン。 パンクブームは1970年代末をピークに下火になりますが、 ヴィヴィアンはスターデザイナーになっていきます。 「デザイナーでなければ歴史学者になっていた」と語る近年の ヴィヴィアンは「パンクの女王」ではなく、 英国の伝統的要素を引用したファッションが特徴。 しかし、著者は「パンクファッションは過去の文化を カットアップしコラージュするが、それは文化を既存の 歴史的文脈から切り離して自由に組み合わせる、 ある種ポストモダン的な記号操作に近い」と述べています。 パンク時代の否定性は失われてしまいましたが、 本質は変わっていないのかもしれませんね。
第9章 コム・デ・ギャルソン ファッションを脱構築する
ヴィヴィアン同様、若者の間で神格化しつつあるブランド がコムデギャルソン。どちらもファッションを解体し、 異質なもの同士を組み合わせる手法をよく使いますが、 ヴィヴィアンが西洋史に(特に英国)に強いこだわりが あるのに対し、ギャルソンは特定の文化への帰属意識を 感じさせません。本書では「脱構築(ディコンス トラクション)」という言葉を用い、その批判的な まなざし(過去の自分さえ否定)や既成概念を破壊する、 ギャルソンのファッションが解説されています。 9章を読めば、ギャルソンがアートカンパニーと呼ばれる所以が よくわかると思いますよ。
第10章 マルタン・マルジェラ リアルクロースを求めて
90年代後半くらいから、マーケティング主導の服作りが グローバルブランドとして世界を圧巻する一方で、 ビジネス優先のファッションに満足しない次世代 デザイナー達が登場します。特に日本市場で人気なのは、 ギャルソンの影響を受けたというアントワープ系。 第10章では、そのアントワープ系の中でも最も人気がある マルタン・マルジェラについて触れています。 作風、ギャルソンとの比較、マルジェラの立ち位置など、 簡潔にまとめてありますが、分量はちょっと少なめで 物足りないかも。
あと、10章はリアルクローズ(ス)の定義も興味深い 内容でした。リアルクローズは一般的に「現実的に取り 入れられるようなリアリティーのある服」のことをいう のですが、著者は「彼らの服は着まわしやすいというより、 自分達の現実から出発するという意味でリアルクロース といいうる」と解説しています。この視点は新鮮でした。
興味のあるデザイナーのところだけを読むのもいいですが、 本書は通読することをオススメします。ファッションや 社会の流れみたいなものがよくわかる、というか、それが メインの本なので。
初めにも言いましたが『ファッションの世紀


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ネット通販じゃよくわからないんで,一度立ち読みしようと思ってるんですが.
>その批判的なまなざし(過去の自分さえ否定)や既成概念を破壊する
ギャルソンの観点は、究極の懐疑心というとこにおいて、デカルトと通じるところがありますね。ほとんどあてつけで前に書きましたが、意外な共通点を発見。勉強になりました。その本金ためて買います。
大型書店に行けば置いていませんか?
僕はいつも大阪の本屋で買っています。
紀伊国屋、ジュンク堂あたりで。
>武欄堂さん、飾窓の男さんへ
僕はどちらもよく知りませんが、懐疑心ではなく、
反骨精神とか、そういうものだと個人的には思いました。